今回は、友人と2人で出かけたモロッコ周遊ツアー10日間の体験記です。
青い街シャウエン、迷路のようなフェズ旧市街、そしてサハラ砂漠。名前は知っていても「どうやって回ればいいの?」となりがちな国です。そのため私たちが選んだのは、添乗員さんが同行するモロッコ周遊ツアーでした。北のカサブランカから南のサハラ砂漠、そして大西洋岸のエッサウィラまで。バスでぐるりと一周します。まさに欲張りなコースです。
訪れたのは2017年11月。この記事では2026年時点の最新情報もあわせて紹介します。まずは①北部編です。モロッコの基本情報と全体ルートを整理します。そのうえで、カサブランカ・ラバト・シャウエン・フェズをめぐる前半4日間をレポートします。

モロッコ周遊ツアーの前に|知っておきたい基本情報
モロッコは、アフリカ大陸の北西のはしっこにある国です。ジブラルタル海峡をはさんで、スペインと向かい合っています。また、イスラム文化とヨーロッパの香りが混ざりあった国でもあります。街ごとに表情がまるで違うのも、おもしろいところ。
- 言葉:アラビア語とベルベル語が公用語。観光地ではフランス語が広く通じ、英語も少しずつ通じます
- 時差:2026年時点で日本より8時間遅れ。ラマダンの期間だけ、9時間遅れになります
- 通貨:モロッコ・ディルハム(MAD/DH)
- ビザ:観光目的で90日以内の滞在ならビザ不要です。パスポートの残存期間は、入国時に3か月以上が必要。なお制度は変わることがあるので、出発前に公式サイトで確認を
- 宗教:イスラム教が多数派。モスクや旧市街を歩くときは、肌の露出を控えた服装が安心です
💡 ディルハムは持ち帰れない通貨です
モロッコのディルハムは、原則として国外への持ち出しが禁止されています。余ったお金を記念に持ち帰る、ということができません。また、再両替ができるのは空港の出発ターミナルの両替所などに限られます。そのときに両替証明書を求められることもあります。最初に両替したときの紙は、捨てずに取っておきましょう。なお私は「使い切れる分だけを、こまめに両替する」のが正解だと思いました。

モロッコ周遊ツアーの服装|2017年11月の気候
11月のモロッコは、日中は日差しが強くて暖かいのに、朝晩はぐっと冷え込みます。まさに寒暖差の大きい季節でした。しかもこのモロッコ周遊ツアーは、大西洋岸の街から標高2,000m級のアトラス山脈を越えて砂漠まで行きます。そのため、1回の旅行の中で気候がころころ変わります。
正解だったのは重ね着です。まず半袖やTシャツの上に羽織りものを1枚、さらに朝晩用にもう1枚あると安心。また、旧市街は石畳や坂道が多いので、靴は歩きやすいものを選んでください。なお、砂漠の朝はかなり冷えます。こちらは砂漠編(②)でくわしく書きますね。
実際に持っていってよかったのはストールでした。時期的に長袖で過ごしていましたが、日が昇っている間は暑くなることもあります。そのため薄手の上着か羽織れるシャツ、そしてストールがあると体温調節がしやすいです。
それともうひとつ、風の強い日が多かったのが印象に残っています。小さなスカーフだと飛ばされてしまうかもしれません。首に巻くだけでなく、肩からかけたり頭を覆ったりもできる大きめのストールが1枚あると、モロッコでは出番が多いと思います。

モロッコ周遊ツアー10日間の全体ルート
今回のモロッコ周遊ツアーは、カサブランカに降り立ってから北 → 内陸 → 砂漠 → 南 → 大西洋岸と時計回りに一周するルートでした。移動距離はかなりのものです。ただし、そのぶん「ひとつの国の中にこんなに違う景色があるの?」という驚きが続きます。
- 1〜2日目:羽田を深夜に出発 → ドバイで乗り継ぎ → カサブランカ着。車窓観光のあとラバトへ(ラバト泊)
- 3日目:ラバト観光 → 約252km・4時間の移動 → 青い街シャウエン(シャウエン泊)
- 4日目:約198km・4時間の移動 → フェズ旧市街を約4時間かけて観光(フェズ泊)
- 5日目:約445km・9時間の大移動でアトラス山脈を越えてエルフードへ → 4WDに乗り換えて砂漠の中のホテルへ(メルズーガ泊)
- 6日目:サハラ砂漠の朝日とラクダ乗り → トドラ渓谷 → ワルザザード泊
- 7日目:世界遺産アイット・ベン・ハッドゥ → マラケシュ旧市街観光(マラケシュ泊)
- 8日目:大西洋岸の世界遺産エッサウィラへ日帰り観光 → マラケシュへ戻る(マラケシュ泊)
- 9〜10日目:マラケシュ発 → 乗り継ぎ → 機中泊 → 東京着
ちなみに、同じモロッコ周遊ツアーには9日間のコースもありました。そちらはエッサウィラ観光がない代わりに、1日早く帰ってくる日程です。いっぽう私たちが選んだ10日間は添乗員さんが同行してくれるので、乗り継ぎも自分でやらなくてよかったのが大きかったです。
私たちが10日間のコースを選んだのは、世界遺産のエッサウィラに行きたかったから。そして、せっかく行くなら目一杯まわりたかったからです。なかなか何度も行ける距離ではないので、思い切って日数を取りました。
1〜2日目|羽田を深夜に発ってカサブランカへ
スタートは羽田空港を深夜に出発する便です。利用したのはエミレーツ航空。ドバイで乗り継ぎ、カサブランカに着くのは現地時間のお昼すぎという長い長い移動になります。なお、日本からモロッコへの直行便はないので、どのルートでも1回は乗り継ぎが入ります。
ちなみに、申し込んだときのパンフレットに書かれていた乗り継ぎ地と、実際に手配された便が違うことがあります。パンフレットにも「利用航空会社は変更となることがあります」と注記があります。そのため乗り継ぎ地と航空会社は、最終日程表が届いたときにあらためて確認するのが安心です。
また、深夜発の便は、乗ってしまえばそのまま眠れるのがメリット。ただし機内はかなり乾燥します。マスクとリップ、そして首元を支えてくれるネックピローがあると、体の疲れ方が違います。


大型機のトイレ事情は、覚悟しておくといいかもしれません
正直に書くと、機内でいちばん大変だったのはトイレでした。収容人数の多い大型機だったこともあって利用が集中し、汚れやトイレットペーパーの補充が追いつかないほど。さらに人が多いぶん通路も汚れがちで、足元に荷物を置くのがためらわれました。
そのため、これから乗る方にはウェットティッシュと、床に直置きしなくてすむ小さめの手荷物をおすすめします。座席の下ではなく、膝の上や前ポケットに収まるサイズだと気持ちよく過ごせます。
乗り継ぎのドバイ空港は、休憩スペースが優秀
乗り継ぎのドバイ空港は、さすが世界的なハブ空港という印象でした。お店の顔ぶれは他の空港と大きく変わりません。ただし、無料で休めるスペースがしっかり用意されていたのが助かりました。長い乗り継ぎ時間を、座って休みながら過ごせるのはありがたいものです。
ドバイ空港には、ターミナル内に無料のリクライニングエリアが点在しています(設備は変わることがあるので、出発前に空港の公式サイトで確認してくださいね)。また、乗り継ぎ時間が長いフライトを選ぶときは、こうした休憩できる場所があるかどうかも意外と効いてきます。
カサブランカはハッサン2世モスクを間近で
到着後、最初の観光はカサブランカの車窓観光の予定でしたが、時間があったのかバスを降りての外観観光。ハイライトは、大西洋に突き出すように建つハッサン2世モスクです。1993年に完成した比較的新しいモスクで、210mのミナレット(尖塔)は世界でも屈指の高さ。さらに10万人以上を収容できる巨大な建物です。
モロッコのモスクは、イスラム教徒以外は中に入れないところがほとんどです。ただしハッサン2世モスクは例外で、ガイドツアーに参加すれば内部を見学できます(所要1時間ほど)。私たちのツアーはもすく外からの見学でした。じっくり中まで見たい方は、自由行動のある日程かどうかを申し込み前に確認するといいと思います。

夕方到着したラバトでは街が大騒ぎ。
何があったのかガイドさんに聞いてみると、この日ちょうどサッカーW杯でモロッコが出場を決めたところだったようでお祝いムードで盛り上がっていました。

3日目|首都ラバトは「街まるごと世界遺産」
2日目の夜に泊まったのが、モロッコの首都ラバト。翌朝ここを30分ほど観光しました。ラバトは2012年に「ラバト、近代の首都と歴史都市」として世界遺産に登録された街です。しかも旧市街と新市街の両方が登録範囲に入っている、珍しい遺産でもあります。
- ハッサンの塔:12世紀に建設が始まったものの、1198年に未完のまま工事が止まった尖塔。まわりには柱だけがずらりと残っていて、完成していたらどれほど大きなモスクだったのか、と想像がふくらみます
- ムハンマド5世廟:現在の国王のおじいさまにあたる、ムハンマド5世が眠る霊廟。衛兵が立っていて、白い装飾の内部をのぞくことができます


ラバトでいちばん印象に残っているのは、建物の壁や柱の模様です。日本では見ない配色と幾何学模様で、どこを撮ってもおしゃれ。さらに淡い色合いがどことなくミュシャの絵の雰囲気に似ていて、見ているだけで気持ちが落ち着くような美しさでした。
3日目|「不思議な青い町」シャウエンを歩く
ラバトからバスで約252km、4時間。ここが1回目の長距離移動でした。たどり着いたのが、この旅でいちばん有名かもしれない青い街シャウエンです。
山の斜面にへばりつくように家が建ち、その壁も階段も扉も、ぜんぶが青。理由には「虫よけのため」「涼しく見せるため」「ユダヤ人が持ち込んだ習慣」など、いくつかの説があります。ただし、はっきりとは決まっていないそうです。ちなみにシャウエンは世界遺産には登録されていません。それでも世界中から人が集まるのは、写真に撮ったときの美しさが圧倒的だからだと思います。
坂と階段が多い町なので、歩きやすい靴は必須。猫がとても多い町でもあります。



人気の観光地なので、それなりに人はいました。ただし団体がかたまりで動いてくれるおかげで、誰もいない街角を撮ることもできました。また、街なかの雑貨店は、並んだ商品と青い壁のコントラストがそのまま絵になります。
坂は多いものの急ではありません。実際、同じツアーに参加されていたご高齢のご夫婦も、同じペースで歩いて楽しんでいらっしゃいました。青い家並みも高台からの見晴らしもきれいなので、「歩くこと」に気を取られずに楽しめるのがこの町のいいところだと思います。
シャウエンからフェズに向かう途中で、スカーフやパシュミナなどの布製品のお店へ。
旅行前に調べて気になっていた民族衣装のジェラバも取り揃えてあり、スカーフなどの紹介をほどほどにジェラバを物色。お値段もピンキリでしたがデザイン的に日本円で1万円ほどのものが気に入り、お店と交渉。散々渋って半額にしてもらい購入決定です(笑)。男女兼用のものなので丈が長く、調整したものは次の日に届けてもらえるとのことでした。こういうところもツアーの魅力ですね。
4日目|世界一の迷宮都市、フェズ旧市街
シャウエンから約198km・4時間移動して、次はモロッコ随一の古都フェズへ。ここでは約4時間かけて旧市街を歩きました。
フェズの旧市街(メディナ)は1981年に世界遺産に登録されていて、「世界最大級の迷路」とも呼ばれる場所。細い路地が数千本も入り組んでいます。そのため、地図アプリを見ていても自分がどこにいるのか分からなくなります。ここは、ガイドさんに付いていくのが本当に正解だと感じたところでした。

この日めぐったところ
- ブージュルード門:外側が青、内側が緑のタイルで飾られた旧市街の入口。「青い門」とも呼ばれます
- 王宮:金色の巨大な扉が並ぶ門の前で記念撮影。中には入れませんが、この扉が圧巻です
- アッタリーン神学校(マドラサ):14世紀に建てられた学校で、ゼリージュと呼ばれるモザイクタイルの装飾がびっしり。中庭の細かさに息をのみます
- 皮なめし職人地区(タンネリ):中世から変わらない方法で革を染めている場所。すり鉢のような染色槽がパレットのように並びます
タンネリでは、革製品店の屋上テラスから全景を見下ろすのが定番です。ただし強烈なにおいがするので、入口でミントの葉を渡され、それを鼻に当てながら見学します。この体験は、写真では絶対に伝わらないところです。
この革製品のお店では欲しかったバブーシュを購入。
本格的なお店ではやっぱり初期はにおいが強い!のであらかじめ日本から持参していた大きめなジップ袋に入れて帰国まで封印。帰国後は1ヶ月くらい玄関や晴れた日にはベランダで放置してにおいを抜いてから使いました。




歩いてみて思ったのは、足元の選び方が大事だということ。古い市場なので、路面が濡れていたり汚れていたりすることが多いのです。そのため気になる方は、丈の長いスカートや、ソールの浅いサンダルは避けたほうが安心です。
昼はリヤド、夜は宮殿レストランでタジン
この日の食事は、ツアーならではの内容でした。まず昼食は、旧市街の伝統的な邸宅を改装したリヤドレストラン。夕食は宮殿レストランでタジンです。タジンは、とんがり帽子のようなふたのついた鍋で蒸し煮にするモロッコの家庭料理です。


味の話も少しだけ。まずモロッカンサラダが毎回のように出てきます(笑)。ピーマン、トマト、じゃがいも、ビーツの登場回数が多く、ピーマンが苦手な友人はちょっと大変そうでした。
お肉も魚もおいしくて、ハーブがたっぷり使われているのが特徴です。ハーブ系が好きな私はとても楽しめました。ただ正直に書くと、味つけの方向性が似ているので、ツアーの食事は後半すこし飽きます(笑)。それでも野菜がとてもおいしかったので、満足でした。
昼食時に早速昨日のジェラバが到着。次の日の砂漠で着たかったのでワクワクです。
モロッコ周遊ツアーで良かったこと・窮屈だったこと
ここまで書いてきたとおり、モロッコは見どころが国じゅうに散らばっている国です。そのため個人で回ろうとすると、長距離バスや列車の手配だけでかなりの時間を使うことになります。
良かったこと
- 乗り継ぎも移動も宿も全部おまかせで、寝て起きたら次の街に着いている
- フェズのような迷路の街を、迷う心配なしに歩ける
- 個人では入りにくいレストランや、決まった時間の観光がスムーズ
- 2人参加でも、バスの中では他の参加者と自然に情報交換ができる
窮屈だったこと
- 「もう少しここにいたい」と思っても、次の街への出発時刻が決まっている
- 観光時間が30分〜1時間と短い場所もある(ラバト観光は約30分、アイット・ベン・ハッドゥは約1時間)
- 移動が長い日は、1日のほとんどがバスの中
友人と2人で参加してみて
部屋は2人部屋でした。参加者はおひとりの方が少しと、2人組が多い構成。行動はほとんど参加者全員が一緒で、食事も円卓を何組かで囲むスタイルでした。
とはいえずっと話し続けなければいけない雰囲気ではなく、ほどよい距離感で過ごせました。団体ツアーの人間関係が心配な方も、あまり構えなくて大丈夫だと思います。
💡 長距離移動とトイレ休憩のこと
このツアーは、1日に4時間・9時間といった移動がふつうにあります。日程表にも「WC-1回」「WC-3回」というように、その日のトイレ休憩の回数が書かれていました。休憩は決まったタイミングでしか取れません。そのため水分は取りすぎず、休憩のたびに必ず行っておくのが基本です。また、モロッコのトイレは紙が備え付けられていない場所も多いので、ポケットティッシュとウェットティッシュ、小銭(有料トイレ用)は常にポーチに入れておくと安心でした。
次は、いよいよサハラ砂漠へ
ここまでが、モロッコ周遊ツアーの前半4日間。カサブランカの巨大なモスク、世界遺産の首都ラバト、青一色のシャウエン、迷路のフェズと、たった4日で表情がまるで違う4つの街をめぐりました。
そしてこのあと、約445km・9時間の大移動でアトラス山脈を越え、いよいよサハラ砂漠へ向かいます。砂漠の中のホテルに泊まり、ラクダに乗って朝日を見に行く——この旅のいちばんのハイライトです。続きは②サハラ砂漠編でたっぷり書きますね。
モロッコ以外の世界遺産の旅もまとめています。実際に行ってよかった場所を順位づけしてみました。

また、旧市街やスークのような人の多い場所を歩くときは、貴重品の持ち方を出発前に決めておくと安心です。私が実際にやっている分け方はこちら。

また、スマホはツアーで周るとしてもそのまま使えるようにしておくと安心です。

旅行保険つきのクレジットカードがあると便利です。

